2012年01月26日

「ALWAYS三丁目の夕日64」を観て

「ALWAYS三丁目の夕日64」を観に行きました。
同タイトルの3作目です。出演者がテレビでも言っていましたがテーマは「巣立ち」「別れ」といった感じです。

3Dにしようか悩みましたが、前作との比較を考えて普通にしました。

CGの技術はたいへんよく、セットとの違和感もあまり感じませんでした。特に60年代の小物は◎
冒頭、東宝のロゴが60年代と同じで昔のゴジラ映画の始まりのようでした。

主要人物の様子は、はじめにほとんど出ます。いいオープニングだと思います。

ストーリーは意外性はなく、はっきり言って想像通りでした。予告編に堀北の結婚、小雪の出産、淳之助が物書きをやめていないことがわかっていたので、驚く展開はほとんどありませんでした。残念。

淳之助役の須賀君は、1作目から見ていてもうまいと思いましたが、今回もかなりのシーンに出てきます。一平君はあまり出てきません。2作目のような恋のシーンもなし、2作目の女の子が出てくるのかと思いましたが・・・。

2時間超えの映画で飽きもしませんでしたが、ストーリーが読めてしまった分、物足りなかったです。ミドリヌマアキラも途中でわかってしまいました。

堀北と森山の演技はよかったと思います。特に森山は、この3作目だけですから、主要人物がほとんど変わらない映画に入っていくにはたいへんだと思いました。

ラストシーンは1作目のリメイクのようでした。
ケンジと一平が襖を開けて一言しゃべるシーンは、黒澤明の「椿三十朗」で小林桂樹の演じた侍みたい。.
氷屋さんは自動販売機屋になっていました。
三人組の子供が出てきますが存在感はなし。
オリンピックのことはあまり出てきません。
新聞が出てこない、政治の話(会話の中でも)もないのはちょっと・・・。
残念なことは悪役が出てきません。小日向も出てこないし・・・誰も不幸にならない。

4作目は作らないほうがいいと思います。

あとエンドロールになっても映像が流れます。立たないように。

私の隣の人のように、エンドロールが始まって私の前を通って出て行き、エンドロール中に忘れ物を取りに私の前を通って戻ってきて、また座っているという失礼な行動はしないでください。あと、エンドロールの始まりと同時に携帯を見た人。二人ともいい大人です。最低のマナーでした。


  


Posted by まちの大工さん  at 17:23Comments(0)映画の話

2012年01月18日

「ロボジー」を観て

「ロボジー」を観に行きました。
前作「ハッピーフライト」と同じ矢口史靖監督の作品です。

ストーリーは単純、電機メーカーの社員がロボット製作を命令されたが、製作中に窓から落下して壊れてしまい仕方なく、ボットの中に入ってくれる人を募集、その人がジジイなのでタイトル「ロボジー」です。

冒頭に一人暮らしの老人の寂しさが語られますがそれが後々生きてきます。

ロボット博覧会で状況は変わります。ロボジーは「おてもやん」を踊り、女の子を事故から救います。そのことから、木村電器のロボット、「ニュー潮風」は一躍スターになります。
TVや新聞で自分はだまされてロボットにされたことで一度は怒りますが、娘夫婦と孫にも嫌われていたため、再びロボットに入ります。

ロボットオタクの女子大生吉高は、はまり役で◎。
木村電器の3人組と社長の配役も◎でした。

脚本もいい。ファーストシーンの「壊れるシーン」と「吉高を救うシーン」が最後までストーリーの鍵となります。主人公のジジイが社会に必要とされることが、嫌でもあり良くもある微妙なところも同じように最後まで鍵となります。また、なにより、一応はピーエンドになるからでした。

ただ、竹中直人のシーンやEVのおならのシーンは予告編に出ていないほうがよかった。どちらか一方でもいいから。映画の途中であのシーンとわかってしまったので残念。

前作の「ハッピーフライト」のパンフレットも凝っていましたが、今回は○○○と同じ形で◎。
正月早々、笑い声が劇場に多い映画でした。
映画のエンドロールにアニメのロボジーが出てきます。パンフレットにも出ていますが、この絵がいい。下の絵参照。


  


Posted by まちの大工さん  at 19:59Comments(1)映画の話

2012年01月06日

「ゴーストライター」を観て

「ゴーストライター」を観に行きました。
80才になるロマン・ポランスキー監督の新作です。映画は◎でした。

元英国首相の自叙伝を書くこと依頼されたゴーストライターが、取材を重ねていくうちに大きな疑問に気づきます。そしてその疑問は溺死した前任のゴーストライターの死の真相に関り合っていきます。

英国首相がアメリカに追従したのはなぜか?首相の過去、なぜ政治に目覚めたのか?元首相夫人が肝心なところで出てくる。首相と大学教授の関係は?謎が謎をよんでいきます。

ユアンマクレガー演じるゴーストライターは、命の危険を冒して真実に迫ろうとしますが、そこで首相は殺されます。殺人に関っていないことがわかり釈放され、元首相の自伝を出版します。ここまでほぼ二時間、これで終わりかと思いましたが、出版記念パーティーで秘書のアメリア言ったひとことに、主人公は(観客も)頭の隅の疑問が解けます。前任者の原稿の「初めのほう、一連の」の言葉で…

ラストシーンで街路を紙が舞っています。

ラストに明かされる真実が、大どんでん返しになります。最後まで先の見えないストーリー。それを思わせるように作品を通してずっと灰色を基調とした暗い画面、ラストのパーティ以外に色の付いた画面がないほどです。そして、最後の色の付いた場面で全てが明らかになる…。

サスペンス映画は好きですが、時間の長さ、どんどんわからなくなるストーリーは最高でした。
残念なことは、パンフレットを買おうと思ったら売り切れでした。重ねて残念。


  


Posted by まちの大工さん  at 17:30Comments(0)映画の話

2012年01月03日

「聨合艦隊司令長官 山本五十六」を観て

「聨合艦隊司令長官 山本五十六」観に行きました。
「ノモンハンの夏」などの作家半藤一利氏の監修でしたので、史実は正確だろうと思ったからです。

映画は山本五十六を中心に進みますが、なにより、真珠湾、、ミッドウェイなどの戦闘シーンはCGで簡単に済ませています。今までにないシーンは、当時の日本国民が三国同盟、真珠湾で狂喜し、ミッドウェイで疑問を持ち出し、戦後手のひらを返したように民主主義に変わっていく様子を、新聞社の社員とともに映像化しています。
特に香川照之が演じる新聞社のトップは、三国同盟をあおり、アメリカとの開戦をあおり、真珠湾に狂喜し、ミッドウェイでウソの報道を、ガタルカナルでは敗戦を「転進」といって国民にさらにウソの報道をし、そして、ラストでは「民主主義」を報道する。戦争中のマスコミの節度のなさを映像化してありました。

映画の初めに、海軍の一人が「艦隊決戦で…」としゃべることがあります。当時の日本の海軍は、日露戦争のときの勝利が頭から抜けず、世の中が飛行機による制空権の奪い合いになっているのに、あくまで戦艦を中心とした敵艦隊の殲滅こそ勝利の方法だと疑っていなかったのです。第二次大戦は飛行機、潜水艦、レーダーの時代でした。NHKの「坂の上の雲」では、秋山真之が考えた戦法でロシア艦隊を壊滅させましたが、そのときから海軍の思考は止まってしまったのです。

以前、ミッドウエイ戦でなぜ、戦艦が被害がなく、空母ばかり沈められたのか不思議でした。後で本を読んで知ったのですが、海軍は空母とわずかな船で艦隊を組み、空母を守る船を同じ艦隊に入れていなかったのです。映画でもそのシーンは正確に描かれ、空母4隻は艦隊とはなれて航行しています。この戦いで帰るべき空母を失った日本機は燃料切れで海中に落ち、ベテランのパイロットをたくさん失ったのです。

パンフレットの1ページ目に現在の日本と昭和初期の時代が非常に良く似ていることが書いてあります。不況、雇用不安、所得格差、そして、首相がコロコロと交代したことがよく似ているのです。昭和初期に政治が安定しないで、次第に力を失い、代わりに力を持ったのは軍人でした。当時の軍人は軍の学校を出た成績で階級が決まっていました。学校の成績で将来が決まってしまうのです。能力ではありません。古賀茂明さんの本などによると、今の官僚も出身大学で将来が決まってしまい昭和初期とそっくりなのです。

掘悌吉が何度も出てきました。彼は「軍備は平和の保障である(戦争をするためではない)」という考えの人で当時の海軍から追われた人物です。山本五十六が死んだ後「山本神社」を立てる計画に反対し、中止させました。

この映画は、今回の原発の事故にもつながるのではないでしょうか。原発は事故は起こさないとウソの発言をしていたことや事故の後の東電や政府、マスコミの対応も、この映画の昭和初期と同じように見えてきます。

日露戦争のときの首脳(政府も軍も)は日本にそれほど力がないことを知っていました。だから、早く講和に持っていこうとしました。当時の首脳陣は明治維新の生き残りで学校もまともに出ていませんが、経験を通して「しなければならない事、そのために必要なこと」を良く知っていたのです。そして、日露戦争の首脳は責任を取るため児玉源太郎のように、自ら戦場に立ったのです。

私が「建築は大工が造ってきたが」や「学校では教えてくれない」に書きましたが、今は経験という学問を修めること、修めた人の重要さを忘れていると思います。○○学校を出た、資格を持っていることは問われますが、今まで何をしてきたかということは問われません。

劇場にあまり若い方を見ませんでしたが、ぜひ、若い方に足を運んで見てほしい映画だと思いました。
そして、五十六が映画の中で言った「目と耳と心を開いて世界を見る」、「何事も大元まで戻らないと大事なことを失う」はたいへんいい言葉だとおもいます。


  


Posted by まちの大工さん  at 15:14Comments(1)映画の話