2012年10月10日

吹き抜け5~照明器具をつけるところが…

吹き抜けにすると天井が高すぎて照明器具が部屋の中央に取付けられません。

照明は壁や梁などに付けて数が増え、工事費と器具代が増えます。

また器具が多いので、それだけメンテナンスもかかります。

つまり、導入コストもランニングコストもかかることになります。

  


Posted by まちの大工さん  at 19:03Comments(0)今昔話

2012年10月09日

吹き抜け4~大きいほど弱くなる

大工が自分で加工して家を建てていた頃は、弱くなると思い大きな吹き抜けは造りませんでした。吹き抜けをつくっても、せいぜい、玄関ホールに小さな吹き抜けをつくる程度でした。

ところが、今は大きなリビングに大きな吹き抜けがある家がたくさん雑誌に出ています。

1~3で書いたように吹き抜けは床の耐力を低下させ、壁の力をスムーズに伝えないため家全体の力を低下させることになります。

大きな吹き抜けはより低下させることになります。


  


Posted by まちの大工さん  at 18:46Comments(0)今昔話

2012年10月02日

吹き抜け3~吹き抜けの壁は2倍の高さ

現在の計算は、壁の力や配置に重点が置かれていますが、吹き抜けの周りの壁は普通の壁より高さが2倍になります(下図参照)。

高さが異なる壁が混在して地震などに抵抗することになります。また、床がないため水平力の伝達がスムーズにいきません。吹き抜け廻りの壁は、バラバラに働くことが考えられます。

木造住宅は細かい材料をたくさん組合せてできています。ですから、バラバラに壁が働けばバランスが崩れ、災害時に分散して全体で力を受けられずに、局部に力がかかってしまうかもしれません。


  


Posted by まちの大工さん  at 18:02Comments(0)今昔話

2012年09月26日

吹き抜け2~床、水平部材の役目

木造住宅の耐力壁を計算する場合の前提条件として「床は水平で、剛性があること」という条件があります。

地震のときに抵抗するのは耐力壁ですが、その耐力壁同士をつないでいるのは水平部材の床や小屋組なのです(下図参照)。

吹き抜け部分の床の力は0(ゼロ)です。
従って吹き抜けがあると吹き抜け周りの耐力壁のつながりは弱くなり、地震のときに吹き抜けがない場合より不利になります。

配置した耐力壁が力を発揮できるように考える必要があります。
  


Posted by まちの大工さん  at 16:00Comments(0)今昔話

2012年09月24日

吹き抜け1~大きな吹き抜けは大丈夫?

最近、雑誌などを見ると木造住宅でも非常に吹き抜けが多いと思います。しかも大きな居間などに大きな吹き抜けを設け開放感を演出しています。目の前の建築雑誌にも、大きな吹き抜けの写真の広告が出ています。

ということで今回から、特に木造住宅の吹き抜けについてのブログを書きます。吹抜けを計画している方は参考にしてください。

吹き抜けを見るたびに、私は「これで、ほんとに地震の時にも大丈夫だろうか?」と思っています。

吹き抜けは床が一部ないことです。

下の絵のように、四角い紙に穴を開ければ、紙は変形し易くなることは誰でもわかると思います。
変形しやすいということは、強度が低下する、つまり、床は弱くなるということです。


  


Posted by まちの大工さん  at 18:28Comments(0)今昔話

2012年03月15日

大工の数 40万人を切る2

2020年、今50代の大工はほとんど60代になります。
墨つぼと差し金で墨を付け、簡単な電気道具や手道具だけで家を造った経験のある大工の数は、とんでもなく少なくなります。「建築は大工が造ってきたが1,2」に書いたように、木造建築は大工をはじめとした職人が技術を伝承して造ってきたのです。

設計士がいるではないかと思う方がいるかもしれませんが「学校では教えてくれない1,2,4,8」に書いたように、建築の学校で木造住宅を教わることはありません。建築士の免許を持っているだけではなく自分で勉強したか、大工など現場経験のある設計士でなければ、木構造は全くわからないのです。




  


Posted by まちの大工さん  at 20:11Comments(0)今昔話

2012年03月14日

大工の数 40万人を切る1

日本の大工の数が、40万人を切りました。

2005年には54万人もいたのに、おそるべきスピードです(建築は大工が造ってきたが16参照)。少子高齢化など問題ではありません。

国が大手のメーカーにベッタリで、現場で働く職人のことは無視してたからです。政策が会社優先で、実際に造っている人のことは考えないできたのです(建築は大工が造ってきたが4参照)。

2020年、後8年ほどで30万人になると言われています。



  


Posted by まちの大工さん  at 18:21Comments(0)今昔話

2011年09月16日

学校では教えてくれない―補足(了)


8月19日の朝日新聞に「先生が大工に弟子入りする」という記事がありました。
工業高校の先生が、大工に木造技術を教えてもらう内容です。






















ここまで書いたように、大学も高校も木造を教えてくれる先生はほとんどいません。
いっそのこと、大工を先生にしたらいいと思いますが、教員資格がないのでダメだと思います。

教えられる大工は先生ではなく、教えられない人が先生をしているおかしな話です。

「建築は大工が造ってきたが9,16,22」などに書いたように、この10年でこの業界の人の構成が変りました。大工になりたくても経験する場所はどんどんなくなっています。

就学年数が長くなり、社会に出る年齢が高くなっている今、以前と変らない教育体制でいいのでしょうか?

このタイトルは7で終了の予定でしたが、この記事を見て追加しました。  


Posted by まちの大工さん  at 19:03Comments(0)今昔話

2011年09月15日

学校では教えてくれない7

「建築は大工が造ってきたが9」に書いたように、墨付け加工できる大工が減っていますから、これから、木構造を勉強することは大変です。

業界で育てるようにしないと新築もリフォームは出来なくなると思います。設計でも工事でも自分で勉強する強い意志がいります。

「修行」なんて古い言葉かもしれませんが、そんな覚悟が必要ではないでしょうか。



  


Posted by まちの大工さん  at 19:43Comments(0)今昔話

2011年09月10日

学校では教えてくれない6

95年の阪神の地震から木造住宅の耐震の研究は相当進んだと思います。

たくさんの実大実験が行われ、2000年に建築基準法は改正されました。

新しい計算は、耐力壁の配置の仕方、接合部の方法など計算するまでに考える事は増えたのです。

パソコンの普及は誰でも間単に耐力壁の計算が出来ると思われているだけで、以前より深く木構造を勉強しなければならなくなったと思います(ブログ「建築は大工が造ってきたが10,14,15」参照)。



  


Posted by まちの大工さん  at 18:55Comments(0)今昔話

2011年09月08日

学校では教えてくれない5

20年以上前に読んだ雑誌に女性の設計士が、木造住宅の設計をするのに木構造が解らないため、大工に頼み込んで一軒の家の全ての部材を計測して図面を書き、木構造を勉強した記事がありました。

今は建築士が同じような勉強することはほとんど出来ません(ブログ「建築は大工が造ってきたが5」参照)。
プレカット工場で加工するため身近に加工するところがないからです。
構造図はプレカット工場でコンピュータが書くことが多くなりました。

大工が加工しない、設計士も加工するところを見られなくなりました(ブログ「建築は大工が造ってきたが9」参照)。



  


Posted by まちの大工さん  at 20:27Comments(0)今昔話

2011年09月05日

学校では教えてくれない4

消費者向けの建築関係の本の中で業者に任せないで、建築士に工事の監理や検査を依頼した方がいいと書いてあることがあります。

しかし、ここまで書いたように学校では木造の専門講義はほとんどないのですから、建築士ならだれでもいいわけではありません。

このことは木造に限らず、依頼する人(たとえば建築士)が学校を出てからどんな仕事(経験)を何年してきて、何を専門にしているかによります。

たとえば足をケガして、眼科に行く人がいるでしょうか?
これは建築に限らず他の専門職でも同じだと思います。



  


Posted by まちの大工さん  at 19:19Comments(0)今昔話

2011年08月31日

学校では教えてくれない3

下の写真は、書店で売っていた木造住宅の構造模型です。

箱の右に「二級建築士設計製図試験対策」と書いてあります。
試験のために、この模型を組み立てて木構造の基本を勉強するらしいです。

この模型を売っている理由も、学校で木造建築の講義がないためだと思います。



  


Posted by まちの大工さん  at 17:51Comments(0)今昔話

2011年08月29日

学校では教えてくれない2

私が毎月買っている雑誌「○○ホームビルダー」の2011年2月号に、大学の講義に木造の専門講義がないため、複数の大学が連携して講義している記事がありました。

この記事を見たときに、私が大学にいたときとほとんど同じなんだと思いました。

95年の阪神の地震の後、しっかりした講義がされていると思っていました。

現在でも、ほとんどの大学には木造住宅を教える先生はいないようです。




※雑誌を勝手にコピーできないので絵で我慢してください。  


Posted by まちの大工さん  at 19:02Comments(0)今昔話

2011年08月28日

学校では教えてくれない1

時々、お客さんに話すのですが、大学の建築学部を卒業しても木造住宅の事は解りません。
なぜなら、講義がないからです。

私も20数年前に大学の建築学部を卒業しましたが、木造の講義はほとんどありませんでした。

これは、江戸時代まで建築は大工が造ってきたため、明治時代に大学がつくられたときの講義はそれまで日本にない建築、レンガ造り、コンクリート造りなどの西洋建築の講義だからです。



  


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